マスターテクニシャン File:25

日産マスターテクニシャン一覧へ

10年後、どうありたいか。

数パーセントに入るクルマを救え

日産整備士として最高峰の技術を有する者のみに与えられるマスターテクニシャンという称号。数々の難関資格制度をクリアしたもののみが認定される。その資格をすべて一発合格で取得したつわものがいる。滋賀日産・水口店の岩倉さんだ。ハイスピードで合格を勝ち取った彼の信念とは。

「学校を卒業して入社すると、新人研修を受けます。そこで最初に聞いたのは『整備士は、毎日が勉強だ』という話でした。
ある程度の経験を積めば、ある程度の整備は誰でもできるようになる。しかし、整備していく中の数%に、本当に勉強し経験を積んだ人でないと直せないクルマが入ってくる。
私たちはそのクルマを直すために経験を積み、勉強するんだ、と。それが、頭の中にずっとありました。
自分も、その数%のクルマを直せる人間になりたいと思ったんです。そのための勉強のひとつが資格でした」

岩倉さんは、新人時代の工場長の言葉を今でも信念にしている、と教えてくれた。それは、忙しい毎日にとらわれるな、ということ。

「整備工場はとても忙しいところです。息をつく間もなく、次々とお客さまのクルマが入ってくる。そんな毎日を過ごしているときに、当時の工場長が、『目の前の仕事を毎日こなしているだけだと、10年後にひとと差がつく』」と話してくれたんです。何年後にどうありたいか、そこを意識して先にビジョンを持っていないと、毎日がただ過ぎていってしまうと教えられました」

岩倉さんは、そこから何事にも問題意識を持つようになったという。貪欲に経験と知識を求めた彼は、様々な形で整備を学んでいく。

「最初に配属されたのは、規模の小さい店舗でした。同期と比べると、絶対的に場数が少ないことに悩みました。子どもの頃から負けず嫌いで、経験値で負けたくないという思いは、資格の勉強につながりました。勉強する際、常に心がけたのは「聞く」ということ。

触ったことのない症状を直した先輩に、どうやって修理したのか、聞きに行くんです。これが壊れることで、どういう影響があるか。問題と答えだけではなく。その過程を聞く。そこまで聞かないと意味がない。聞くことができれば、実際に自分が整備をしていなくても、経験になる。それで自分の引き出しが1個増える。次に実車に出会ったときが、2回目になる。

そうやって、常にアンテナをはり、そこでひっかかってきた疑問を解決していくことによって、自分の引き出しを増やしていくんです」

お客さまの顔を思い浮かべて

整備士時代、クルマに向かう際に必ずする儀式。それは、お客さまの顔を思い浮かべるということ。

「実際に整備するのはクルマですが、そこに乗られるお客さまの顔を想像します。頭の中で、困った顔とか、怒った顔をされるわけですよ。
それを考えるから、自分の気持ちやコンディションに左右されず、品質を保つことができるんです。妥協がなくなる」

岩倉さんは、今、テクニカルアドバイザーとして、フロントでお客さまを迎えている。整備工場とお客さまをつなぐ大切な役割だ。

「今は、お客さまの顔が見えるところにいます。ですから、整備士にお客さまの言葉を伝えるときには、一緒に私が感じたことも話します。例えば、とても心配されている様子や、怒っていらっしゃる理由などですね。
整備するときに、お客さまのことを意識するのとしないのでは大きな差があるんですよ。お客さまの伝えたかった本当の意味がわかると、動きが変わります」 

10年後、どうありたいか。

向かう先を見据え、歩んできた彼が今後目指すものとは。

「スタッフ全員がお客さまの気持ちに向いている店舗を目指したい、と思っています。

ですから、コミュニケーションを大切にしています。私はテクニカルアドバイザーとして、工場とお客さま、営業とお客さまをつなぐ役割をしています。スタッフにはそれぞれの立場も言い分もある。気持ちもよくわかる。ですが、向かう先はお客さまの気持ち。みんなが同じ方向に向かっていけるように考えています。

時間にも、気持ちにも、少しの余裕を持たせることがいい仕事につながると思っています。その余裕を生むために、配慮しコントロールすることが目の前の目標。お客さまの笑顔を想って、いい仕事を届けられるようなお店になりたいです」

今後、高い技術力や豊富な知識を持った、スタッフがさらに増えていきます。もちろん、私も最新技術の資格を更新し続けます。
みなさまのご来店をお待ちしております。