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選んだ道を究める

整備士は整備をするのみにあらず

整備士はクルマを整備する。しかし、『整備をするだけが仕事ではない』と橋本さんは語る。
橋本さんは、19人もの整備士が在籍するサービス工場、栃木日産・小山店の工場長。

「整備士は『サービスマン』です。日産のお店では、整備をした整備士がその内容をお客さまにご説明し、メンテナンスや快適のためのご提案をします。整備しかできない整備士ではなく、お客さまのカーライフ全体を見渡せるサービスマンとして、総合力を持ったテクニカルスタッフになってほしいとよく話しています」

橋本さんは、若手と積極的にコミュニケーションをとる。自身の経験に基づく思いを日々の会話に込めてきたことが、最近少しずつ若手にも伝わってきたと感じているそうだ。

「お客さまとお話しする際に、すっとお客さまの横にひざをつき目線を同じにしたり、あまり抑揚なくしゃべっていた新人が身振り手振りでどうにか伝えようとしていたり。変化が見えてきました。
私が入社したばかりの頃。20年ほど前は、新人は雑用が仕事でした。洗車と軽作業ばかりの毎日。修理やクルマの故障診断をしたいと思っても、させてはもらえませんでした。
どうしたら仕事をもらえるのかと日々悩み、今やっている仕事を早く終わらせてアピールしようだとか、次のステップに近い軽作業を積極的にしようだとか。ずっと考えながら、目の前の仕事をこなしていたものです。

今は効率を重視してある程度平等に仕事を振りわけます。当時の私が欲しかった仕事も自動的に入ってくる。人によっては、その仕事が大変だからと嫌な顔をするけれど、その仕事ができるチャンスをもらえるというのは、とても幸せなことなんだと知ってほしいのです」

究(きわ)めて、極(きわ)める

【きわめる】という漢字はいくつかある。辞書を引くと、『極める』は限界まで行き着くこと、『究める』は、深く研究して明らかにすること、とある。「とにかく、きわめたい、と思った」と橋本さんは語る。

「整備士になろうと、整備の学校を選択したのは、高校の友人がきっかけでした。進路を決める時期に手に職をつける道に進もうと誘ってくれた先が自動車整備。身につける技術は何でもよかったのです。もし、彼が『パン屋になろう』と誘ってくれたのであれば、今頃パン職人でした。それでもやっていることは同じだろうと思います。きわめるために、同じ苦労を重ね、同じように努力をしたと思います。
整備の勉強は真面目にやりましたね。それが将来に直結すると思えば、友人と二人して必死になりました。その頃から整備をきわめたい、そしてプロフェッショナルになりたいと思っていました」

ふと、橋本さんはご実家の話をしてくれた。

「私の実家は90年続いている蕎麦屋です。自分の祖父は頑固一徹の職人でした。蕎麦の食い方が気にくわないと客を追い出すような。それを見て育った私には、頑固な職人はかっこいいと無意識にあります。結局父も会社員をした後に継ぎ、蕎麦職人になりました。私は、自分で選んだサービスの道でプロフェッショナルな職人になろうと決意しました」

何かのプロは共通してストイックで徹底している、それがかっこいいと思ったと橋本さんは語る。そんなプロフェッショナルの憧れの人が栃木日産の中にもいた。

「憧れなんて恥ずかしいので言わないですが、お手本にした整備士の方が1人いらっしゃいます。現在サービス本部にいらっしゃる星さんです。私が新人の頃に整備士として難解修理を担当していました。修理の複雑なクルマを集めて技術支援をするのが仕事で、ある種そこが整備のプロとして一番かっこいいと思った姿でした。実は私も3年前に本部で同じ仕事を担当しました。感慨深い気持ちになったのを覚えています」

自分に厳しくあること前向きであること

「常に前向きでいなさい」。これは橋本さんの口癖。サービスマンとして必要なことだと語る。

「自分を成長させるために、自分に厳しくストイックであることは大切です。と同時に、前向きさというのは物事を吸収して自分を上に引き上げる材料になります。成長に必要なものは、身近にたくさん転がっている。それをふてくされていては拾えません。納得できないことも前向きに受け取り、次につなげて、成長してほしいと思っています。

仕事の姿勢としては、さらにチームワークを大事にするために協調性を求めます。整備車両に向かうときは一人ですが、知恵を出し合ったり、連携して誰かのヘルプをもらうことは多々あります。ストイックに技術でクルマに向き合う面と、チームワークでお客さまのクルマを最速で最善にしていく面。そのバランスがとれる工場であれば、お客さまのお困りごとにも対応できる柔軟なサービスを生めると思います」

工場長になっても、プロ意識を大切にする橋本さんが目指す、次のプロフェッショナルの姿とは?

「育成のプロですね。サービスすべての分野で総合的に高いレベルの人財を育てていきたいと思います。なんでもストイックに追究したい。これはこの先、何者になろうが変わらないと思います。若い人たちが自分を見て何か感じてもらえればいいと思っています。私が言っていることに耳を傾けてくれるうちは、多くのことを教えていきたいです」

橋本さんは、マスターテクニシャンの資格を更新し続ける。それは、説得力のため。後に続く者たちへの説得力。そして、この道を極めるという、自分への説得かもしれない。

「プロ意識」を信念に、より一層ご満足いただけるサービスの向上に取り組んでまいります。おクルマのご相談はぜひ、栃木日産におまかせください。

小山店の未来を見据えるような二人。橋本工場長と店長